The Tale of Genji 1625
by Anonymous
この一双の屏風は、『源氏物語』54帖より、好みで選ばれた場面が描かれており、その5つの場面は、それぞれ時間的に隔たっているにもかかわらず、まるで一連の景観に描かれている。右隻の右半分には、赤子の光源氏を、父の帝が初めてご覧になっている場面、左隻の左下半分には、女房たちがどの季節が最も美しいか論じ合っている場面、同隻の右上半分には、源氏が最愛の女性・紫の上と手あぶりを前に、親密なひとときを過ごしている場面が描かれている。
[br]
それぞれが、人物たちの幸福な瞬間が捉えられていることから、恐らく、この屏風は、女性の婚礼道具として描かれ、婚家へもたらされたのであろう。このような装飾的な屏風は、衣服、蒔絵の化粧道具や遊び道具などの女性の様々な豪華な手回り道具の重要な一品目であった。
この作品における人物・風景の表現は、狩野派の特徴にあたる...
- Size:
- 166 × 371 cm each
- Medium:
- Pair of six-panel screens; ink, colors, and gold on paper
- Credit:
- Courtesy of the Art Institute of Chicago
Discussion